シミ治療(ピコスポット)とその後の経過について
シミ治療の流れ
ここでいうシミ治療は老人性色素斑(日光黒子)のことをいい、ピコスポット後の色素沈着について触れていきたいと思います。
当院でのピコスポットはエンライトンSRを使用しております。ピコスポットの適応となるのは、シミ、ADM、隆起のない黒子(色味や状態によります)になります(アザへの照射も行っておりますが自由診療での照射となります)。
シミ治療は濃いシミの方が気になるし薄いシミより治療が難しいという印象があるかもしれませんが、実際は
薄いシミ(メラニンが少ない、皮膚の深い位置にある)の方が治療は難しいです
ピコスポットの照射が適応かどうかについて、洗顔後肌の状態を医師が診察を行います。
肝斑を伴うシミの場合は肝斑の程度にもよりますが、
基本的には肝斑を避けての照射を行います
(肝斑部分への照射はシミが薄くなる場合もありますが、強い色素沈着や白斑となるリスクがあるためピコトーニング・ピコダブルの施術、トレチノインハイドロキノン外用、内服で肝斑治療の先行をお勧めします。肝斑が軽度でリスクを説明させていただき、了承の上で出力を下げての照射を行う場合があります)。
ピコスポット照射時はクーリングを行い照射を行っていきますが、チクチクとした痛みがあります。
照射後の状態
照射を行ったシミ部分は①シミ(老人性色素斑)やそばかすの場合は黒く浮いてきているような見た目、②ADMや深いシミ(淡く灰色調)の場合は灰色が強くなりもわっと濃くなったような見た目になります。
また、シミ周囲が虫刺されの後みたいにぷくっとむくんだ赤みを帯びた感じにもなります。このむくんだ感じは当日中に引くことが多いですが、2~3日続くこともあります。
直後はやや厚めに照射部分広めにステロイドの軟膏を塗布します。その後は当院で指示させていただいた期間、ステロイドの軟膏の塗布をお願いしております。
黒く浮いてきているような見た目のシミ「①」は当日~翌日の夜には黒くくっきりと浮いた薄いかさぶた状になります。灰色が濃くなったような見た目のシミ「②」部分はそのまま変化はありません。
かさぶた状になったシミ「①」は大体5~7日程度かけて自然とはがれ落ちていきますが、濃くなった見た目のシミ「②」は1か月程度そのままの色味で時間とともに徐々に薄くなっていきます。
シミの深さや性質によっては1回目ではほとんど効果が出てこないこともあります(薄いシミやADM、黒子で多いです)。その際は期間をあけた後、出力を上げての照射となります。
照射後の経過
肌質にもよりますが、かさぶたが取れた後は一旦肌の色がきれいになるのですが、照射から2~3週間後ぐらいから急に灰色調のもわっとした色味が出てくることがあります。これが炎症後色素沈着の状態となります。
炎症後色素沈着は照射前より濃くなる場合もあります。また、新たにシミができたように薄くそこまで気にしていなかったシミの部分が濃くなることもあります。炎症後色素沈着の経過は照射後1か月後ぐらいが色味のピークとなります。照射をし、2~3か月ぐらいは大体同じ程度の色味で経過し、その後徐々に薄くなり半年~1年かけて消失していきます。稀に真皮層にメラニンが滴落してしまうと色味が残ってしまうことがあります。
色素沈着は自然に落ち着いていきますが、隠そうとして強くメイク時に塗りこむようにこすったり、コンシーラーを強くこするように塗りこむと長引いてしまいます。
深いシミ(色味が薄く、境界があまりはっきりしないもの)はかさぶたとならずに1~2か月かけて徐々に薄くなる経過をたどるシミもあります。薄いシミの方が効果を実感するのは難しく(治療効果が出にくい)、1回目の照射の反応をみて(シミがうすくなったかどうか、変わらないか、色素沈着はどうであったか)2回目の出力を上げていくか決定していきます。
厚みのあるシミでは1回で取り切れず複数回治療を行う必要があります。出力を上げればいいのではないかと思うかと思いますが、出力を上げることによる火傷、瘢痕形成のリスクもあるため出力の調整には注意を要します。しかしながら、どれだけ低出力でも火傷のリスクはあります。
炎症後色素沈着を防ぐ、悪化させないためには下記があげられます。
紫外線対策の徹底
摩擦を避ける(特にマスクの摩擦が問題となります、マスク側の4隅にワセリンを塗るなど対策がおすすめです)
ハイドロキノンなどの美白剤の併用(アゼライン酸、ナイアシンアミド、システアミン、コウジ酸なども効果的です)
トレチノインやピーリングでのメラニンの排出促進
ピコトーニングでのメラニン排出促進
トラネキサム酸等の内服・メソセラピー・エレクトロポレーション
※トラネキサム酸のメソセラピーについてメニュー化を進めているところになります。
使用するトレチノインの濃度や沈着したメラニンの濃さ、肌の反応の仕方により薄くなるまでの経過に違いがでてきます。当院では1日1回塗布を基本濃度0.025%とし、効果が弱い場合は0.05%、それでも乏しい場合や肌の状態が大丈夫でより早く排出を促す場合は1日2回でのご案内をさせていただいております。
経験上とはなりますが、色素沈着は肝斑部分よりこめかみやもみあげ付近のフェイスラインの方が色素沈着を起こしやすい印象があります。
かさぶたが取れた後、白くお色味が抜けたように見えることがあります。くすみのある方やスキントーンが暗めの方で起きやすいです。一過性のことが多く大体は1~2か月程度かけて周囲になじんでいきわからなくなっていきますが、稀に白く抜けた状態がそのまま残ってしまうことがあります。
その他、火傷(水疱形成)、瘢痕、毛嚢炎等を生じることがあります。
色素沈着をしやすい肌、習慣とは?
スキントーンが暗め
日焼けをしている、くすみが強い
肝斑がある
頬や顔を触る癖がある
色素沈着を起こしてしまった際の治療方法は?(別途ご費用負担があります)
施術の場合
ピコトーニング(メラニンを壊すレーザーを優しく照射することでメラニンの分解排出を促します)
ミラノリピール(ターンオーバーを促進することでメラニンの排出を促します)
エレクトロポレーション(トラネキサム酸とビタミンCの導入を行います)
トラネキサム酸のメソセラピー
ホームケアの場合
トレチノイン・ハイドロキノン療法(新たなメラニンが生成されるのを抑え、排出を促します)
アゼライン酸やコウジ酸の外用(ハイドロキノンが使用できない場合に検討をします)
ピーリングローションの外用(沈着したメラニンの排出を促します)
診察によりお施術の変更や外用薬の併用をお勧めさせていただくことがあります
ピコスポットでご予約をいただいていても、肌の色味や状態によってはピコスポットが不適のため、ピコトーニングやピコダブルをご案内させていただくことがあります。また、色素沈着を起こしそうな肌質、状態の場合はハイドロキノンとトレチノインの外用併用をお勧めさせていただくことがあります。
色素沈着を最小限にし、治療効果を最大限に発揮するためのご提案となりますのでよろしくお願いいたします。
また、トレチノインとハイドロキノンは皮膚の赤みやひりつきが出ることがあります。何かしら気になることがありましたら、当院の公式ラインよりお問い合わせ、ご連絡をよろしくお願いいたします。
シミの再発か色素沈着の区別は?
かさぶたとなりきれいに剥がれ落ちた後、もわっと色味が出てきた場合、その多くは色素沈着になるのですがシミの再発の場合があります。もともとあったシミよりも広範囲にもわっと色が出てきた場合は色素沈着の可能性が高いです。
どちらもメラニンのため鑑別がとても難しく、色素沈着の治療を行い残ってしまったものがシミ、消えたのが色素沈着という判断になります。目安としては色素沈着の期間である、6か月程度を要します。
シミ治療の肝はどれだけ色素沈着のリスクを抑えられるかになります。