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イソトレチノイン服用中の施術について

[2023.02.26]

イソトレチノイン服用中の施術の可否はクリニックにより考え方が異なります。

当院の考えが全てのクリニックに当てはまるわけではありませんのでご了承ください。

 

イソトレチノイン服用中の施術について

イソトレチノインは日本では未承認医薬品となります。難治性ニキビの治療に米国で使用されている薬になります。

イソトレチノインは1980年代に創傷治癒不良や遅延を起こしうるといった報告があり、外科的手術等は内服終了から6か月の期間を空けるようにいわれてきました。

一方で、イソトレチノイン内服中でも安全に治療を受けることができたという報告も多数蓄積され、2017年にシステマティックレビューが発表されました。

そのレビュー内において

ピーリング

低用量イソトレチノイン服用下でのピーリングは創傷治癒の遅延と関連していない可能性があるという合理的なエビデンスがあることを示唆しています。

皮膚手術

イソトレチノイン服用中、服用直後の患者の皮膚手術を遅らせる根拠は不十分である。

レーザー脱毛

現在イソトレチノイン服用中または最近まで服用していた患者へのレーザーや光脱毛を遅らせる根拠は不十分である。

アブレーティブ、ノンアブレーティブフラクショナルレーザー

現在イソトレチノイン服用中または最近まで服用していた患者へのフラクショナルアブレーションやノンアブレーティブレーザーを遅らせる根拠は不十分である。アブレーション(皮膚剥離)は推奨されません。

※当論文内にイソトレチノイン服用下でのニードルRF、マイクロニードリングについても言及があり、創傷治癒に差がなかったという論文の引用もあります。

イソトレチノイン服用中の当院における考え方

以上のようにイソトレチノイン服用下でもレーザー施術をはじめ、創傷治癒に影響がないと考えられるようになってきています。

一方で、イソトレチノイン自体が日本では未承認治療薬であることから、処方および内服に関して服用される方がすべての責任を負う状況となること。また、個人輸入での内服の場合は適切な管理(採血による肝機能障害のチェックや体重当たりの内服量の調整、内服期間等)が困難となり、予期せぬ皮膚症状が生じる危険が否定できません。

また、イソトレチノインの服用でほとんどの方で生じるのは粘膜を中心とした乾燥です。乾燥した状態でのレーザー治療は火傷等の肌トラブルのリスク要因となりえます。

創傷治癒過程を利用する施術を行うのに、悪化するというリスクがなかったとしても期待しうる効果が得られなくなる可能性があります。

当院では安全を考え、ピーリングおよびエレクトロポレーションのみ内服中の施術を可能とさせていただき、その他の施術(脱毛やピコレーザ、ダーマペン、ポテンツァ、UBスレッド、ショッピングスレッド等)は内服終了後から1か月経過してからとさせていただいております。

 

 

 

 

参考論文

Leah K Spring, Andrew C Krakowski, Murad Alam, et al. Isotretinoin and Timing of Procedural Interventions: A Systematic Review With Consensus Recommendations: JAMA Dermatol. 2017 Aug 1;153(8):802-809. 

 

 

 

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