グルタチオンの効果とは?
グルタチオン、トラネキサム酸、ハイチオールは美白作用のある内服薬として認識されていますが、グルタチオンについて触れていきたいと思います。
グルタチオンは3つのアミノ酸(グルタミン酸、システイン、グリシン)により構成されるペプチドで、抗炎症作用、抗酸化作用、抗メラニン作用を有するといわれています。
グルタチオンは強力な抗酸化作用をもち、皮膚においては、表皮細胞で生成された紫外線による活性酸素種を除去することが示されており、肝斑は色素沈着への効果があるのではないかと考えられています。
また、グルタチオンはメラニンの合成経路において黒色のユーメラニン(いわゆるメラニン)から黄赤色のフェオメラニンへの誘導を促し、肌の色を薄くする働きやチロシナーゼ阻害作用による抗メラニン作用があると考えられています。
グルタチオンの内服と効果について
タイで実施された60人の健康な医学生を対象とした研究で、対象者をグルタチオンカプセルを1日500mg の用量を2回に分けて内服する群と、プラセボ(偽薬)の内服をする群の2群にわけ4週間の内服を行いましました。4週間でメラニン指数はグルタチオンを内服した群で減少傾向を認めました。そのうち、太陽にさらされやすい顔の右側と左前腕ではプラセボと比較し有意差を認めました。
タイのバンコク在住の60人を対象とした研究で、対象者を還元型グルタチオンであるGSH(250 mg / d)、酸化型グルタチオンであるGSSG(250 mg / d)、プラセボ内服群の3群に分け、12週間経口摂取を行いました。12週間後のGSH群、GSSG群ではプラセボよりもメラニン指数は低い傾向はあるものの、有意差は認めませんでした。
副作用
グルタチオンの内服での重大な副作用は起きにくいとされています。内服では悪心、嘔吐などの消化器症状や発疹。点滴ではアナフィラキシー様症状が起きた(0.1%未満)という報告があります。
当院では安全性のため、点滴ではなく内服でのグルタチオン摂取のみとなります。
肝斑治療においては他治療との併用をおすすめさせていただいております。
注意事項
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- 妊娠中、妊娠の可能性がある方、過去にグルタチオンを薬剤で副作用が生じたことがある方は内服することができません。
- 消化器症状(嘔気や下痢など)が出現することがあります。
- 稀に薬の影響で皮疹等出現することがあり、異常な症状が出現した際は内服を中止し医師へご相談ください。
- 肝斑治療にはグルタチオン内服に加え、トラネキサム酸の内服や外用・ピコトーニングの併用をおすすめさせていただいております。
参考資料
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